Shopify Plusとは?導入検討のおすすめメリットと活用法

取引量の多いECサイトや大規模なECサイトを運営されている方におすすめなのが、Shopify Plus(ショッピファイ プラス)です。Shopify Plusは他のプラン以上に強化された機能や、事業者のストア運営をサポートする体制が用意されています。

とはいえ、他のプランよりも月額費用が高く、全ての機能を十分に活用できないリスクもあるため、なかなか導入に踏み込めない事業者もいるでしょう。今回は、Shopify Plusに関する基本情報を具体的な事例などと交えて詳しく紹介します。

Shopify Plusとは?

引用:Shopify Plus

Shopify Plusは、Shopifyが提供する契約プランの中で最も高性能な機能を搭載したプランです。すべての機能を網羅しつつ、専用アプリの利用や各種制限値の上限解放など、より事業者に寄り添った価値を提供しています。

他のプランに比べて費用は高いですが、その分機能性やカスタマイズ性に優れており、サポート体制が整っているのが特徴です。

Shopify Plusを導入すると得られるメリット

Shopify Plusを導入するメリットは、主に以下の3つが挙げられます。

  • 通常プランの機能をさらに効率化できる
  • スタッフアカウント数が無制限になる
  • 専任サポート担当がつく

それぞれ詳しく見ていきましょう。

通常プランの機能をさらに効率化できる

Shopify Plusは、通常プランで利用できる機能をさらに効率化できるのが特徴です。ストア運営をしていると、より詳細なデータを集計したいと思うこともあるでしょう。

そこで、Shopify Plusを導入すると、標準の集計機能を効率化したり、一部業務を自動化したりして、利便性の向上を促せます。

スタッフアカウント数が無制限になる

Shopify Plusは、管理できるスタッフアカウント数が無制限になる点もメリットです。プレミアムプランでは、最大15人までしかアカウント管理ができませんが、Shopify Plusにするとその上限がありません。

事業者によっては、所属スタッフにアカウントを発行して、ポジションごとに権限付与を行いたい場合があるでしょう。Shopify Plusプランにして、それぞれが自身のアカウントでログインできるようになると、各々の作業を同時に進められて、日々の業務効率がアップします。

専任サポート担当がつく

Shopify Plusは、専任サポート担当者がつく点もメリットとして挙げられます。具体的には、ストア公開前後の各フェーズで、Shopifyから事業者専任のサポートメンバーのアサインが可能です。

ストア構築時に浮き彫りになった技術的な質問や悩みなどを相談できるため、ストア構築に不安を感じている事業者にとっては心強い味方になります。

Shopify Plus導入で生じるデメリット

Shopify Plusは、強力な機能やサポート体制を用意していますが、デメリットも存在します。デメリットは、主に以下の3つです。

  • 他のプランに比べて月額費用が高い
  • Shopify Plusの機能を使いこなせない恐れがある
  • 導入事例が少なく情報が限られている

それぞれ詳しく見ていきましょう。

他のプランに比べて月額費用が高い

引用:Shopify Plus価格設定

Shopify Plusは、他のプランよりも月額費用が高い点がデメリットの1つです。ベーシックプランが1カ月33米ドルに対して、Shopify Plusは1カ月2,000米ドルです。

さらに、契約するには1年以上の継続が前提となり、日本円に換算すると年間約350万円以上のコスト発生が見込まれます(2023年8月時点)。費用に見合う価値を得られることは間違いありませんが、料金面でハードルが高いと感じる方は多いでしょう。

Shopify Plusの機能を使いこなせない恐れがある

Shopify Plusは機能が充実しているがゆえに、提供される機能を全て使いこなせないかもしれません。

Shopify Plusには、通常プランで提供されている機能をさらに強化したものが多くあります。そのため、全ての機能を使いこなせず、費用に見合った効果を得られないケースもあるでしょう。

導入事例が少なく情報が限られている

Shopify Plusは導入事例が少なく、参考にできる情報が限られている点もデメリットです。

通常プランの事例は、Shopifyの公式や各事業者が情報発信を行なっています。一方で、Shopify Plusは詳しい情報が少なく、なかなか情報収集ができない事業者も少なくありません。

Shopify Plusについて調べるには、実績のある企業へ相談したり、情報発信にアンテナを張ったりして、能動的に情報収集をしましょう。

Shopify Plusを導入して実現できること

Shopify Plusを導入すると、主に以下5つのことを実現できます。

  • Shopify Plus仕様のストアを追加できる
  • チェックアウトページをカスタマイズできる
  • Shopify Plus専用APIを利用できる
  • Shopify Plus専用アプリを利用できる
  • B2B向けのECストアを構築できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

Shopify Plus仕様のストアを追加できる

Shopify Plusを導入すると、Shopify Plus仕様のECストアを追加できます。Shopify Plusでは、1つのアカウントで最大10個までECストアが作成可能です。ストア追加に関する詳しい内容は、後述します。

チェックアウトページをカスタマイズできる

Shopify Plusを導入すると、チェックアウトページをカスタマイズできます。他のプランでは、チェックアウトページをカスタマイズできないため、事業者のニーズに添ったページを作成できませんでした。しかし、Shopify Plusを導入するとカスタマイズが可能になり、ストアニーズにあった商品購入のフローを構築できます。

Shopify Plus専用APIを利用できる

Shopify Plusでは、専用APIを利用できます。APIとは、Application Programing Interfaceの略で、特定のプログラムや機能を外部利用するために用意されている窓口のようなものです。

主に以下3つのAPIが用意されています。

  • Gift card
  • Multipass
  • User

それぞれのAPIを詳しく見ていきましょう。

Gift card

Gift card APIは、ギフトカードの作成や作成情報の取得、ギフトカードの無効化などを行える機能です。通常プランでは、管理画面からでしかギフトカード設定ができません。

一方で、Shopify PlusにしてGift card APIを導入すると、Shopifyのソースコード上にギフトカードに関するプログラムを組み込めます。そして、特定の実行プロセスと合わせた対応が可能です。

Multipass

Multipass APIは、1つのメールアドレスでShopifyストアと別サイトへのアクセスを可能にする機能です。本来、Shopifyストアと別サイトへアクセスするには、それぞれのサイトで毎回別々の設定を入力しなければいけません。

しかし、Multipass APIを使用すると別サイトにあるログイン情報を利用してShopifyストアにもアクセスできるようになります。

User

User APIは、登録されているスタッフアカウントの情報を取得できる機能です。

すでにShopifyストアに登録されているスタッフ一覧を取得し、特定の権限が付与されているアカウントを抽出したり、ログインしているスタッフ情報の取得をしたりできます。ただし、新しいスタッフアカウントの登録や、情報の更新はできません。

Shopify Plus専用アプリ・機能を利用できる

Shopify Plusでは、通常アプリだけでなく専用アプリや機能が利用可能です。Shopify Plusには、主に以下5つのアプリがあります。

  • Launchpad
  • Script Editor
  • ShopifyFlow
  • Transporter
  • Bulk Account Inviter

それぞれのアプリを詳しく見ていきましょう。

Launchpad

引用:Launchpad

Launchpadは、時間設定したイベント処理をスケジュール通り実行できるShopify純正のアプリです。

開始と終了の時刻を設定して、期間限定商品の公開設定をしたり、販売情報を抽出する処理を実行したりできます。今まで手動で行っていた作業を自動化できるため、ぜひ組み込んで活用したい機能の1つです。

Script Editor

Script Editorは、商品購入に関する特別な処理を独自に作成できるShopify純正のアプリです。

カート内や商品購入に関する処理をアプリ経由で改修できるため、直接Shopifyのソースコードに触れる必要がありません。Script Editorでは、以下3つの処理を作成できます。

  • Line item scripts:カート内の商品価格の変更やディスカウント付与が可能
  • Shipping scripts:配送方法の各種変更や配送料金のディスカウント付与が可能
  • Payment scripts:決済サービスの変更やデフォルト決済方法の自動選択などが可能

改修の際は、Rubyというプログラミング言語を用いて記述するため、プログラミング技術が必要です。独自処理を組み込みたい事業者は活用したいアプリです。

ShopifyFlow

引用:ShopifyFlow

Shopify Flowは、ストア内の処理やアプリ間での手動処理を自動化できるアプリです。以前はShopify Plusのみでしか利用できませんでしたが、2022年6月からスタンダード以上のプランで利用が可能になりました。

販売業務に関するフローの自動化だけでなく、カスタマーサポートや自動マーケティングにも活用可能です。ユーザーのストア上での行動をトリガーとして、さまざまなアクションを自動で行えるため、事務作業にかかるコストを削減し、ストア運営に注力できます。

Transporter

Transporterは、他システムから高速で大量件数のデータをShopifyストアへ移行できる機能です。通常プランに標準実装されているCSVインポート機能に比べて、主に以下の点で優れています。

  • 顧客、商品、メタフィールドを移行できる
  • 標準機能よりも10倍高速に実行できる
  • 簡単なトラブルシューティングのためのエラー報告ができる

少量データであれば標準機能で十分対応できますが、大規模サイトからShopifyストアへ移行を考えている事業者にとっては、その効果を十分感じられるでしょう。

Bulk Account Inviter

Bulk Account Inviterは、オンラインストアのアカウントをアクティブ化するよう顧客を招待できる機能です。別のECサイトからShopifyストアへ顧客アカウントを移行した場合、利用者へアカウントの有効化を促す必要があります。

Bulk Account Inviterを使用すると、利用者へアカウント有効化に関する連絡を一括で行えるため、個々に対応する負担を削減できます。

Bulk Account Inviter

Bulk Account Inviterは、オンラインストアのアカウントをアクティブ化するよう顧客を招待できるアプリです。別のECサイトからShopifyストアへ顧客アカウントを移行した場合、利用者へアカウントの有効化を促す必要があります。

このアプリを導入すると、利用者へアカウント有効化に関する連絡を一括で行えるため、個々に対応する負担を削減できます。

B2B向けのECストアを構築できる

Shopify Plusを導入すると、B2B向けのECストアを構築できます。Shopify Plusでは棚卸チャネルを利用することによって、ユーザーに応じた商品価格を調整可能です。さらに、このチャネルでは事業者ごとにパスワードが設定され、ストアから招待された事業者のみアクセスできます。

Shopify Plusと他プランとの違い

次は、Shopify Plusと他プランの違いを、以下3つの観点から比較していきます。

  • 料金
  • 機能
  • サポート

それぞれ詳しく見ていきましょう。

料金面

ベーシックスタンダードプレミアムShopify Plus
月額料金33米ドル/月92米ドル/月399米ドル/月2,000米ドル/月
決済手数料3.4% + 0円3.3% + 0円3.25% + 0円3.15% + 0円

月額料金を見てもわかるように、Shopify Plusの月額料金は他のプランに比べて、最も高くなっています。一方で、決済手数料はどのプランよりも低いため、大量取引を行う事業者は、費用を抑えたECショップ運営が可能です。

機能面

ベーシックスタンダードプレミアムShopify Plus
スタッフアカウント数2515無制限
プロフェッショナルレポート
カスタムレポートビルダー
無料の追加ストア9店舗
Shopify組織管理画面
Shopify Flow
Launchpad
B2B on Shopify
専属のサポート

Shopify PlusとShopifyの他プランとの比較 より抜粋

Shopify Plusは、通常プランの機能だけでなく、独自機能を利用できます。ECストアを最適化する機能や業務効率を向上させる機能だけでなく、専門サポートによる技術・運営支援を受けられる点が、他のプランとの大きな違いです。

サポート面

通常プランでは、ShopifyパートナープログラムやShopifyパートナーアカデミーと呼ばれる、オンライントレーニングサービスがあります。Shopify Plusにも同様のオンライントレーニングサービスが用意されており、以下の2つがあります。

  • Shopify Plusアカデミー
  • Shopify Plusパートナープログラム

それぞれのサポートを詳しく見ていきましょう。

Shopify Plusアカデミー

引用:Shopify Plusアカデミー

Shopify Plusアカデミーは、Shopify Plusプランを利用する事業者に、ストア成功の秘訣や技術的な知識を提供するオンラインプログラムです。Shopify Plusを利用するスタッフが、搭載されている機能やマーケティング戦略などを専門コースで学べるよう設計されています。

Shopify Plusパートナープログラム

引用:Shopify Plusパートナープログラム

Shopify Plusパートナープログラムは、Shopifyストアを用いたビジネス成長に必要なサービスやストア構築に関するサポートを受けられるサービスです。Shopify Plusパートナープログラムの資格を得るには、Shopifyが提示している前提条件を満たす必要があります。提供サービスの種類やビジネス要素によって参加できるかどうかが決まるため、前提条件を確認の上で申請しましょう。

Shopify Plus導入の検討をおすすめする事業者

Shopify Plusの導入検討をおすすめできる事業者の特徴は、主に以下の3つです。

  • 複数のECストアを運営している事業者
  • ECストアの取引量が多い事業者
  • ECストアのカスタマイズ性を高めたい事業者

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

複数のECストアを運営している事業者

複数のECストアを運営している事業者には、Shopify Plusの導入がおすすめです。Shopify Plusでは以下の条件に限り、1つのアカウントで最大10サイトまでShopify Plus仕様のストアを作成できます。

  • 同一ブランドの販売ストア
  • 同一商品の販売ストア
  • 多言語ストア
  • B2B向けストア

上記に該当するストア運営を行なっている事業者は、Shopify Plusの活用により、最高仕様のストア作成・運営ができるでしょう。

ECストアの取引量が多い事業者

ECストアの取引量が多い事業者にも、Shopify Plusはおすすめです。他のプランとの比較にもありますが、Shopify Plusは全てのプランの中で決済手数料が低くなっています。つまり、ストアの取引量が多ければ、その分手数料にかかる費用を抑えてECショップを運営できます。

ECストアのカスタマイズ性を高めたい事業者

ECストアのカスタマイズ性を高めたい事業者にも、Shopify Plusの導入検討がおすすめです。通常のプランでも高性能な機能を持ち合わせているのがShopifyの利点ですが、Shopify Plusはさらに上をいく機能性と拡張性を保持しています。

Shopify Plus専用の機能やアプリを駆使すると、通常プランで実現できなかった機能を拡張でき、それぞれの事業者のニーズに合うストア構築が可能です。

Shopify Plusの導入事例

SOEJU(ソージュ)

引用:SOEJU

SOEJU(ソージュ)は、大人の女性のためのD2Cアパレルブランドです。もともとは別のプラットフォームにてECストアを立ち上げましたが、今後の運営展開を検討してShopifyへの移行を決めました。

移行当初は、通常プランを利用してストア運営を行なっていましたが、独自カスタマイズをしていきたい部分が増えたことで、Shopify Plusへ切り替えました。Shopify Plusにして、切り替えのポイントとなったチェックアウトページのカスタマイズを行い、利便性を考慮したストアを実現しています。

RR COFFEE

引用:RR COFFEE

RR COFFEEは、焙煎した珈琲豆をキッチンカーとオンラインで販売しています。運営会社は、サントリーホールディングス株式会社です。

事業立ち上げを行なった段階からグローバル展開を視野に入れており、機能やサービスが充実しているプランを選ぶべきだと考え、Shopify Plusに決めました。導入後、効率的に多くのストア立ち上げに対応できる点やカスタマイズ性に有益性を感じ、今後の事業展開に活用できると感じています。

Francfranc

引用:Francfranc

Francfrancは「25歳の都会に住む独身OL」をコンセプトに、20代から30代女性をメイン顧客層に支持されているインテリア雑貨ブランドです。もともとは別プラットフォームでECストアを展開していましたが、2018年にShopifyでフルリニューアルさせ、3年間で売上を約5倍に増加しました。

Shopifyを導入するにあたって決め手となったのが、以下の4つです。

  • 売上向上のためにスケーリングに限界がない
  • グローバル展開ができる
  • 身の丈にあったサービス
  • EC物流インフラの自動化

オンライン販売戦略においてShopify Plusの利用が、ビジネス成長に大いに貢献できた事例といえます。

まとめ

Shopify Plusは、Shopifyが提供するプランの中で最も高性能なプランであり、通常プランで実現できなかった機能を拡張できるサービスです。大規模なECストアを運営している事業者や、将来的に複数ストアを運営していきたい事業者のビジネスを支援するサービスが充実しています。

利用コストは全てのプランの中で高いですが、それに見合った効果を実感できるプランです。導入検討している事業者はビジネスモデルにマッチしているかを確認の上で、利用してみてはどうでしょう。

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