事業者の中には、自社が管理しているWordPressサイトをEC化するか、ShopifyでECショップを構築するかを検討している方がいるのではないでしょうか。ShopifyとWooCommerceは、どちらもデザイン性の高いECサイトを構築できるサービスです。
今回は、ShopifyとWordPressサイトをEC化できる「WooCommerce」を6つの観点から比較していきます。さらに、WooCommerceのメリット・デメリット、それぞれのカートシステムにマッチするおすすめ事業者もあわせて見ていきましょう。
WooCommerceとは?

WooCommerceとは、WordPressに導入してECストアを構築できるプラグインです。商品管理や顧客管理などの各種管理機能や配送設定、レポート機能など、ショップ運営をしていく上で必要な機能が標準で備わっており、手軽にECショップを構築できます。
さらに、WooCommerceと連携できる専用プラグインや拡張機能を導入することで、ユーザー・事業者それぞれの利便性を高めるストアに強化できます。
ShopifyとWooCommerceを徹底比較

ShopifyとWooCommerceを以下6つの項目で比較します。
- 料金・手数料(初期費用・月額費用・販売手数料)
- 決済方法
- サイト作成機能
- 集客・販売・顧客管理
- 海外対応
- セキュリティ
それぞれの項目を比較して、相性の良いカートシステムを見つけましょう。
料金・手数料(初期費用・月額費用・販売手数料)
ShopifyとWooCommerceのカートシステムの料金・手数料は、下記表のとおりです。
Shopify | WooCommerce | |
初期費用 | 無料 | 無料 |
月額費用 | 33〜399米ドル※Shopify Plusプランは2,000米ドル〜 | 無料 |
販売手数料 | Shopifyペイメント利用時:無料Shopifyペイメント利用なし:0.15%〜2.0% | 無料 |
クレジットカード手数料 | 3.4%〜4.15% | クレジットカード会社ごとの手数料 |
ShopifyとWooCommerceともに、初期費用は無料です。ただし、月額費用や販売手数料、クレジットカード手数料を考慮すると、WooCommerceの方が全体の料金を抑えて運用できます。
決済方法
ShopifyとWooCommerceの決済方法の種類は、下記表のとおりです。
Shopify | WooCommerce | |
クレジットカード | VisaMasterCardAmerican ExpressJCBDiners ClubDiscover | VisaMasterCardJCBAmerican Expressなど |
携帯キャリア決済 | NTT DocomoauSoftBank | NTT DocomoauSoftBank |
コンビニ決済 | ○ | ○ |
銀行振込 | ○ | ○ |
ID決済 | PayPalApplePayGoogle PayAmazon PayShop Pay楽天ペイなど | PayPalApplePayGoogle PayAmazon PayLINE Pay楽天ペイなど |
代金引換 | ○ | ○ |
後払い決済 | ○ | ○ |
ShopifyとWooCommerceともに、利用できる決済方法の種類は変わりません。Shopifyは月額プランに登録すると、プラットフォーム上で簡単に決済手段の追加や設定ができます。WooCommerceは、銀行振込と代金引換のみがデフォルトで設定でき、それ以外の決済手段はプラグインを追加することで設定可能です。
サイト作成機能
Shopifyと60のサイト機能は、下記表のとおりです。
Shopify | WooCommerce | |
商品登録数 | 無制限 | 無制限 |
1商品あたりの画像登録枚数 | 250枚 | 無制限 |
公式テーマの種類 | 無料:12種類有料:160種類※2023年12月時点 | 無料:3種類有料:60種類以上※2023年12月時点 |
HTML・CSS編集 | ○ | ○ |
独自ドメイン | ○ | ○ |
SSL設定 | ○ | ○ |
ShopifyとWooCommerceは、商品登録数やHTML・CSS編集、独自ドメインの設定に違いはありません。1商品あたりの画像登録枚数とテンプレートの種類は、WooCommerceが突出しています。
ShopifyとWooCommerceの公式サイトで紹介されているテーマは、上記のとおりですが、有料テンプレートは上記以外にも各企業がリリースしています。そのため、公式サイトに掲載されているテーマ以外も種類は豊富です。
SSL設定は、Shopifyは常時SSL設定されていますが、WooCommerceは別途プラグインを導入して対応する必要がありす。
集客・販売・顧客管理
ShopifyとWooCommerceの主な集客・販売・顧客管理は下記表のとおりです。
Shopify | WooCommerce | |
ブログ | ○ | ○ |
SNS連携 | FacebookInstagramTwitterPinterest | FacebookInstagramTwitter |
メルマガ配信 | ○ | ○ |
Googleアナリティクス | ○ | ○ |
越境EC対応 | ○ | ○ |
販売管理 | 販売商品の追加在庫状況管理在庫の追跡・調整在庫分析ドロップシッピング商品分析クーポン発行ストア分析チェックアウト離脱リカバリー機能(カゴ落ち防止)など | 販売商品の追加在庫状況管理在庫の追跡注文分析在庫分析ドロップシッピングアナリティクス機能クーポン発行CSVファイルから商品・税率のインポートなど |
顧客管理 | 注文状況確認顧客アカウント作成顧客情報のインポート・エクスポート顧客グループ作成顧客グループの自動更新など | 顧客分析顧客情報の編集顧客情報のダウンロード顧客グループ作成など |
WooCommerceは、SEO対策に特化した機能やコンテンツマーケティングならではの仕組みが用意されているため、SEOに強いECショップが構築可能です。
販売・顧客管理機能は、それぞれのカートシステムで同様のことができますが、Shopify側はアプリ追加をすることなく一覧に記載されている機能を利用できます。
海外対応
ShopifyとWooCommerceの海外対応機能やサポートは、下記表のとおりです。
Shopify | WooCommerce | |
多言語対応 | 50種類 | ○ |
多通貨 | 160種類 | 131種類 |
海外配送 | ○ | ○ |
サポート窓口 | メール公式サイトのヘルプセンターTwitterコミュニティ英語でのサポート | メール公式サイトのドキュメントブログコミュニティ英語でのサポート |
多言語対応は、Shopifyは標準で用意されていますが、WooCommerceはプラグインを導入しなければ対応できません。多通貨設定はどちらも100種類以上用意されており、各地域に適した通貨設定が可能です。海外対応に関するサポート窓口も、各サービスが用意しているコミュニティやSNS、公式サイトでの情報集ができます。
セキュリティ
ShopifyとWooCommerceの各カートシステムのセキュリティ面は、下記表のとおりです。
Shopify | WooCommerce | |
セキュリティ面 | 第三者機関からの認証を得ている2段階認証やアクセス制限できるホワイトハッカーによる24時間監視常時SSL化 | プラグイン追加によるセキュリティ強化 |
セキュリティ面は、圧倒的にShopifyがおすすめです。表にもあるように、Shopifyでは高セキュリティな仕組みを全てのプランで活用できます。
WooCommerceはWordPressをベースとしているため、WordPressに導入されているセキュリティプラグインに依存します。また、セキュリティプラグインによっては脆弱性のあるものも存在するため、プラグインを導入する際には注意が必要です。
WooCommerceのメリット・デメリット

WooCommerceは、ECショップを運営したい事業者に必要な機能やサービスを提供しています。WooCommerceを導入するメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
WooCommerceを導入するメリットは、主に以下の3つです。
- 初期費用を抑えて導入できる
- ブログと連携できる
- 自由度の高いECショップを構築できる
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
初期費用を抑えて導入できる
WooCommerceは無料プラグインのため、導入費用はかかりません。導入後の月額料金もかからないため、ECストア立ち上げ時の初期費用を最小限に抑えられます。すでにWordPressサイトをお持ちの場合は、初期費用を一切かけずにECストアの構築が可能です。
ブログと連携できる
WooCommerceはWordpress上で動作する仕組みであるため、ウェブサイトとECショップ、ブログ投稿のすべてを一元管理できます。さらにWordPressは、SEOに最適化されたリソースが組み込まれているため、SEO対策面でも有効なプロモーションを行えます。
自由度の高いECショップを構築できる
WooCommerceは、プラグインによる機能拡張やデザインテーマの導入、既存リソースの改修を行うことでオリジナリティのあるネットショップを構築可能です。WordPressが提供するリソースと合わせて、HTMLやCSS、PHPというプログラミング言語を駆使し、ユーザーニーズに合ったショップにカスタマイズできます。
デメリット
WooCommerceを導入するデメリットは、主に以下の3つです。
- WordPressの知識が求められる
- セットアップに作業・時間コストがかかる
- ECショップとして利用するにはカスタマイズが必須
それぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。
WordPressの知識が求められる
WooCommerceは、WordPress上で動作する機能のため、最低限のWordPressの知識が必要です。Shopifyや他のECプラットフォームとは異なり、ドメイン取得やサーバー契約などを自身で対応しなければいけません。
初めてWordPressを触る方には、ハードルが高く感じるかもしれません。とはいえ、WordPressは世界中でシェアされているプラットフォームであり、情報も豊富にそろっているため、サイト立ち上げに必要な情報や知識を得られます。
セットアップに作業・時間コストがかかる
WooCommerceの導入自体は簡単ですが、導入後の各種設定に作業・時間コストがかかるケースがあります。とくにクレジットカード決済に関する設定は、外部決済サービスの登録や連携が必要となるため、手間がかかります。
ECショップとして利用するにはカスタマイズが必須
WooCommerceの標準機能だけでも最低限のECストアの運営はできますが、デザイン性や機能性を高めるためにはカスタマイズが必須です。画面デザインをオリジナリティのあるものにしたい場合や、独自機能を追加したい場合は、HTML・CSS・PHPといったウェブ制作に関するスキルや知識が必要です。
ShopifyとWooCommerceはどっちがおすすめ?

自社の事業の状況を考慮したうえで、ShopifyとWooCommerceのどちらを利用するかを検討することが重要です。それぞれのECシステムに適したおすすめ事業者を詳しく見ていきましょう。
Shopifyがおすすめの事業者
以下に当てはまる方には、Shopifyがおすすめです。
- 初めてECショップ運営をする
- なるべく早くECショップを公開したい
- 最低限の機能拡張で本格的なECショップを構築したい
- 海外販売を視野に入れている
Shopifyは、HTMLやCSSなどのプログラミングスキルがなくても本格的なECショップを構築できるプラットフォームです。そのため、初めてECビジネスを行う事業者にとっては強力なツールとなります。
また、比較一覧を見ても分かるように、WooCommerceはさまざまなプラグインを導入して機能拡張していきますが、Shopifyは標準機能のみで対応可能です。機能拡張を検討しなくても、最低限のリソースで本格的なECショップを構築し、最短で公開できます。
WooCommerceがおすすめの事業者
下記に当てはまる方には、WooCommerceがおすすめです。
- すでにWordPressサイトを持っている
- 初期費用と固定費を抑えたい
WordPressをお持ちでない場合、ドメインの取得やレンタルサーバーの契約など、WooCommerceの導入以外の部分をはじめに用意しなければいけません。一方ですでにWordPressサイトがある場合は、サイト構築作業を省略して、WooCommerceや他の必要なプラグインの導入にリソースを割り振れます。
さらに、月額料金や販売手数料などの費用をなるべく抑えてECビジネスをしたい事業者にも、WooCommerceはおすすめです。Shopifyは、月額料金が最低でも33米ドルかかります。そのため、最低限の販売手数料のみを負担して、ショップ運営にかかる費用を節約していく方針であれば、WooCommerceがおすすめです。
ShopifyとWooCommerceに関するよくある質問

ShopifyとWooCommerceに関するよくある質問をまとめました。
ShopifyとWooCommerceの違いは?
ShopifyはECショップをつくるためのプラットフォームで、WooCommerceはWordPressサイトをECショップ化するためのソフトウェアです。プラットフォームはソフトウェアが動作するための土台を提供しており、ソフトウェアは特定の機能を実行するためのプログラムを指します。
ShopifyとWooCommerceのセットアップ難易度は?
Shopifyは事業者のニーズにあう契約プランを選択後、画面手順に沿って操作すると、簡単にECショップを構築できます。一方でWooCommerceは、WordPressサイトの有無でセットアップ難易度が変わりますが、すでにサイトが用意されていれば数ステップで導入可能です。
ゼロからECショップを構築する場合は、Shopifyを活用する方が公開までのハードルは低いでしょう。すでにWordPressを持っていて、現状のままEC運用していく方針であるなら、WooCommerceを用いて必要な機能を導入してカスタムしていくと良いでしょう。
WooCommerceからShopifyに移行できる?
WooCommerceには、Shopifyへ移行するための専用のプラグインや機能は用意されていません。しかし、CSVファイルで必要な情報を取得し、取得したデータをShopifyが定義するファイル形式に合わせてインポートすると対応は可能です。
WooCommerceには、お客様情報や商品情報をCSVファイルで出力する機能が搭載されています。必要なデータを取得したら、Shopifyが定義するCSVファイルの形式に合わせてインポートすると、データを移行できます。
まとめ
ShopifyとWooCommerceを6つの項目に分けて比較してきましたが、決済方法やサイト作成機能はどちらも同等の機能性や利便性を備えています。WooCommerceは低予算でECサイトを構築できますが、Shopifyの方が標準機能は充実しています。現状把握と運用方針を検討し、どちらが自社のビジネスモデルにあうサービスなのかを吟味することが重要です。
ShopifyでのECサイト制作はフルバランスにご相談ください
フルバランスは、Shopify公式認定パートナーとして、企業のShopify導入を支援しています。システム開発がメインの会社のため、Shopify Plusのカスタマイズに強く、売上最大化を目指すECサイト構築により事業拡大をサポートいたします。
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