越境ECサイトにはShopifyがおすすめ」と聞いたことがあっても、運用する際の言語や通貨、税金などに不安を感じている方もいるのではないでしょうか。Shopifyには越境ECサイト向けの機能が多数あり、アプリを利用すれば、翻訳や自動でレートを換算ができ、販売から発送までをスムーズに行えます。
この記事ではShopifyで越境ECを運用していく際に必要な設定や分析などを、まるっと解説しています。ぜひShopifyで自社商品を国内だけでなく、世界中の人々に届けましょう。
越境ECサイト運営にShopifyがおすすめな理由8選
Shopifyは、グローバルシェアNo.1のECサイト構築プラットフォームです。国内でも利用者が急増しており、175カ国・100万人以上・50言語・130カ国以上の通貨に対応しています。ここでは、Shopifyが越境ECサイト運用におすすめな理由を解説します。
アプリが豊富で拡張性が高い
Shopifyにはアプリが8,000もあり、多言語対応・多通貨対応・配送料の自動化など、越境ECには欠かせない機能が多数用意されています。Shopifyはアプリを追加するだけで、必要な機能を拡張でき、専門知識がなくても越境ECに対応したサイトを制作・運用できます。
100種類以上の決済方法がある
Shopifyはあらかじめ設定されているShopifyペイメントのほか、100種類以上の決済方法が用意されています。
越境ECで成功するには、販売国に合った決済方法の用意も大切です。もしも使い慣れていない決済方法しか選択肢がない場合、せっかく商品をカートに入れても、顧客が離脱する恐れがあります。
世界各国の決済にも対応できる決済方法が用意されているShopifyなら、海外販売する際も対応しやすいでしょう。
多言語・多通貨に対応している
Shopifyでは標準機能で50の言語に対応しており、130種類以上の通貨にも対応しています。アプリを活用すれば自動的に言語を切り替え可能な上に、ユーザー情報を取得し、自動的に対象国に合わせた通貨を表示させられます。
越境ECを制作する上で、多言語・多通貨への対応は必要不可欠です。しかし、日々レートが変化する中で、さまざまな通貨を対象国に合わせた言語で表示させ、正しいレートに換算するのは難しいでしょう。Shopifyでは越境ECサイトを制作する上で面倒な作業を効率化でき、マーケティングや商品開発などに注力できます。
マーケティングツールが充実している
越境ECサイト運用を成功させるには、集客するためのマーケティングもしっかり現地に適応させることが大切です。Shopifyは、マーケティング戦略を立てるためのツールが充実しています。
例えばSEO対策は、ECサイトに顧客を流入させたいときに必要となりますが、ShopifyにはSEOに必要な設定が最初から備わっています。また、Facebook広告やGoogle広告と連携して、広告を自動生成可能です。以上から、ECサイト運営に必要なマーケティングも効率よく行えます。
関税がかかる発送手続きが簡単
商品を海外発送する場合、国内配送とは違って複雑な手続きが必要です。しかし、海外発送をサポートするShopifyのアプリを利用すれば配送業務を一元管理でき、配送業者と連携してリアルタイムの配送レートで計算可能です。
面倒な出荷業務を効率化でき、荷物のサイズ・重量などの必要事項を入力するだけで、操作も簡単です。配送を効率化するアプリに関して、詳しくは後述します。
国ごとの税率の設定が簡単
引用:Easyship
Shopifyは、アプリをインストールすれば各国の税金を自動的に設定可能です。具体的には、250以上の配送オプションを提供しているEasyshipを使えば、関税や税金を自動的に計算し、顧客はチェックアウト時に正確な総額を見られます。
また、Shopifyのプレミアムプラン、Shopify plusに加入している場合は、アプリ不要で決済時に関税・輸入税を微収できます。
プレミアムプラン、Shopify plusでの税金の設定は、管理画面の設定から「関税と税金」をクリックすると設定できます。税の地域セクションで「編集する」をクリックして、国の税金、州や県ごとに税金の請求方法を指定して「保存」をクリックします。
販売チャネルを追加できる
Shopifyは、SNSや海外の大手ECモールなどの販売チャネルを追加可能です。販売チャネルを増やすと、集客の機会損失が少なくなり、新規顧客やリピーターの増加が見込めるでしょう。
Shopifyは他のECサービスに比べ、SNSやECモール連携が簡単で連携先からの集客や販売を効果的に行えます。また、追加した販売チャネルを含めたデータや在庫数が、Shopifyの管理画面から一元管理できるのも魅力です。海外でも商品を販売したい場合は、積極的に連携機能を活用しましょう。
海外在住でも開業ができる
今まで述べてきたようにShopifyは越境ECに対応した機能が豊富なため、海外在住の方が日本国内に向けて商品を販売したいときにも最適です。
Shopifyは元々カナダで創業したECカートシステムで、現在のアクティブユーザーは175カ国・計60万店舗以上となり、年々増加しています。日本国内に向けた拡張機能アプリも増え、コンビニ決済対応や日本郵便、佐川郵便、ヤマト運輸などの追跡ページも表示できるようになりました。世界トップクラスの利用者を誇るShopifyなら、どこにいてもECストアをオープンして販売できます。
Shopifyで海外販売する際に必要な対応
海外販売するには、海外発送の設定に変更しないと海外へ発送できません。万が一、国内配送のみ設定されていた場合、海外の顧客に商品を届けられないので、越境EC運営をするならまずはShopifyで海外発送の設定を行いましょう。
Shopifyで海外販売するための設定
Shopifyで商品を海外販売するには、配送エリアを設定しましょう。ただし、Shopifyはデフォルトで海外配送できる仕様になってるため、特に変更する必要はありません。
もし最初は日本でのみ販売していて、配送エリアを海外にも設定したい場合は、管理画面の設定から「配送と配達」を開き、新しい配送エリアを作成をしましょう。各エリアの詳細設定は「新しいプロファイルを作成する」から変更できます。
Shopifyで海外に発送する5つの手順
Shopifyで海外発送する手順は、以下の5つです。
- 宛先を確認する
- 梱包作業をする
- 商品の重量の測る
- 配送業者を選定する
- 発送する
海外に商品を発送する場合は、国内に発送するとき以上に、商品の大きさや重量による配送コストの差が大きくなります。少しでもコストの負担を抑えるには、配送業者をしっかりと選ぶことが大切です。海外在住者向けの送り状納品書の発行は、アプリを利用するとスムーズに進められます。
Shopifyで越境ECサイト運用に便利なアプリ7選
Shopifyで越境ECを運営する際に便利なアプリを、以下の4つに分けて紹介します。
- 多言語対応のアプリ
- 海外配送料を規格別に自動計算するアプリ
- インボイス対応の請求書を発行するアプリ
- 最新レートで通貨を翻訳するアプリ
アプリを導入すると効率よく越境ECを運営できるので、ぜひ活用してください。
多言語対応のアプリ2選
1.langify
引用:langify
langifyは、ECサイトに訪れたお客様が自国の言語を選択するだけで自動的にリダイレクトされるアプリです。
月額料金 | 7日間無料 17.50米ドル/月 |
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特徴 | サイト内の言語を多言語に切り替え 選んだ言語に自動的に切り替え CSV形式をインポート可能 |
2.Weglot
引用:Weglot
langifyは、ECサイトに訪れたお客様が自国の言語を選択するだけで自動的にリダイレクトされるアプリです。
月額料金 | 7日間無料 17.50米ドル/月 |
---|---|
特徴 | サイト内の言語を多言語に切り替え 選んだ言語に自動的に切り替え CSV形式をインポート可能 |
2.Weglot
Weglotは、シンプルな構造かつ高速でサイト内の言葉を翻訳するアプリです。
月額料金 | 10日間無料 15米ドル/月 29米ドル/月 79米ドル/月 |
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特徴 | 150以上の言語で翻訳精度が高い 画像や動画のテキストを翻訳 |
海外配送料を規格別に自動計算するアプリ2選
1.Easy Rates
引用:Easy Rates
Easy Ratesは、日本郵便の配送方法と料金を自動で計算し、チェックアウト時に表示できるアプリです。
月額料金 | 7日間無料 9.90米ドル/月 |
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特徴 | 海外発送料金の自動計算 つねに最新の配送料金を自動計算 適切な配送オプション |
2.Ship&co
引用:Ship&co
Ship&coは、国内外の運送会社をまとめて管理できるアプリです。
月額料金 | インストールは無料 従量課金制 33円(税込)/送り状発行1件 月額割引プラン 1,100円(税込)/月〜 |
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特徴 | 複数の運送会社対応で送料を比較できる 佐川急便、ヤマト運輸、日本郵便を含む国内外運送会社に対応 |
インボイス対応の請求書を発行するアプリ
1.Quick Order Printer
Quick Order Printerは、複数の帳票を一括で作成・印刷できるアプリです。
月額料金 | 7日間無料9米ドル/月 |
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特徴 | アプリインストール後すぐに設定無しで請求書など発行可能。(インボイス制度対応済み)テンプレート切り替え機能でデザインを適宜変更可能 |
最新レートで通貨を翻訳するアプリ2選
1.BEST Currency Converter
BEST Currency Converterは、サイト内の価格の通貨表示を簡単に切り替えができるアプリです。
月額料金 | 30日間無料 9.95米ドル/月 |
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特徴 | 顧客の所在地に基づき自動的に変換される Shopifyテーマのヘッダーに自動的に配置 |
2.自動通貨スイッチャー
引用:自動通貨スイッチャー
自動通貨スイッチャーは、訪問者が自国の通貨で価格表示できるアプリです。
月額料金 | 15日間無料 9.95米ドル/月 |
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特徴 | 顧客の国を自動的に検出できる通貨 選択ボックスに国旗を表示できる |
Shopifyで越境ECサイトを成功させるポイント
Shopifyで越境ECサイトを公開しただけでは、お客様は訪れてくれません。
そこで、越境ECで集客を成功させるポイントを4つ紹介します。
アンケート調査で顧客ニーズ分析する
アンケート調査によって、国や地域によっての価値観やニーズを把握すれば、より海外の顧客に求められる商品を開発・提供できます。言い換えると、売りたいものを販売するのではなく、売れるものを販売するともいえるでしょう。
越境ECと一言でいっても、アジア圏とヨーロッパ圏では売れ行きの良い商品は異なります。国内や地域ごとのニーズの違いを見極めるためにも、アンケート調査を実施しましょう。最近はアンケート実施を代行する企業もあるので、活用するのも1つの方法です。
顧客の離脱ポイントや導線を知る
一度サイトに訪れた訪問者を逃さないようにするために、顧客の離脱ポイントや導線を把握することも大切です。訪問者の離脱ポイントや動向を調べたいときは、ヒートマップアプリが便利です。Shopifyには「Lucky Orange」というアプリがあります。
アプリを導入して訪問者がクリックやスクロールした場所を調べると、売上の改善につながるでしょう。
関税やリードタイムについて調べる
海外へ商品を発送すると、国内と違って関税がかかります。関税が高すぎると、商品を販売しても利益に繋がらないケースがあるためよく確認しなければいけません。なかには関税が高すぎて、顧客が商品を受け取り拒否してしまう可能性もあります。
そこでアプリを利用すれば、チェックアウト時に関税と輸入税の見積もりを表示できます。
ShopifyプレミアムかShopify Plusのプランに加入していれば、アプリを利用せずに設定可能です。
また、海外に発送するときは、商品が到着するまでのリードタイムが長い点も考慮しなければなりません。顧客が商品購入後に不信感を抱かないように、関税やリードタイムについてサイト内で詳しく説明することが大切です。
Googleアナリティクスの連携
Shopifyのデフォルト機能で、すでに十分な分析ツールは揃っています。しかし、越境ECではもう少し細かく分析するためにもGoogle アナリティクスを実装すると良いでしょう。
Googleアナリティクスでは、ユーザーがどのようにしてあなたのサイトへ辿り着き、どこでサイトから離脱し、次にどのような行動を取ったのかが把握できます。サイト内を詳しく分析すると、SEOや広告、コンテンツマーケティングなど今のあなたに必要な施策がわかるでしょう。
Shopifyで越境EC対応サイトの成功事例
実際に、Shopifyで越境ECを運営しているサイトの成功事例を紹介します。
amirisu
引用:amirisu
amirisuは、世界中から集めた最高級の毛糸や美しいテキスタイルなどを揃えた、京都の実店舗とShopifyのECストアで展開しています。ワークショップの開催や雑誌販売、雑誌を通じた毛糸や手芸キット商品の販売を、24カ国の約120店舗で展開している毛糸ショップです。
Shopifyでブログを作成して商品以外のコンテンツにも注力し、ただ単発の商品を売るだけでなく、毛糸にまつわるストーリーにも価値を見いだしています。
grounds
引用:grounds
独創的なデザインのソールが、海外でも話題のスニーカーショップのgrouds。
同社がプラットフォームを選ぶ際、低コストで売上債権期間が早く、アプリで自由にカスタマイズできることからShopify一択だったそうです。
はじめから世界を視野に入れていたため、写真だけでも商品の良さが伝わるInstagramをメインチャネルとしています。スニーカー好きを狙わずスニーカーをあまり履かない人がターゲットのgroudsには、ファッション感度の高い層が集まりました。
日本工芸
引用:日本工芸
日本工芸はまだネットであまり見かけない、上質な伝統工芸品を販売している企業です。
代表の松澤氏によると、Shopifyと出会う前は多額のコストをかけ、オープンソースでECサイトを立ち上げたものの、まったく動かなくなってしまっていたそうです。
オープンソースからShopifyへの移行後は、国内販売とマーケティングを経て越境ECサイトへと成長しています。
同社へのShopify導入インタビューは、こちらで詳しく紹介しています。
Shopifyで越境ECサイト運営をする注意点
Shopifyで越境ECを運営する際に、注意したいポイントは以下の3つです。
- 集客を一からする必要がある
- 多機能で使いこなすのが難しい場合もある
- 販売予定国の法律を把握する
3つの注意点を具体的に見ていきましょう。
集客を一からする必要がある
Shopifyは、越境ECサイトを簡単に作成できますが、作成しただけでは集客できません。具体的にはSNSや広告、SEO対策、大手ECモールとの連携などによって集客する必要があります。
Shopifyは、プラットフォーム自体に集客力はありませんが、このような集客に役立つ機能が多く備わっているのが特徴です。海外で集客するために活動するのは大変ですが、ストア分析やアプリなどを活用して自社に合った集客方法を探っていきましょう。
多機能で使いこなすのが難しい場合もある
ShopifyはECカートシステムの中でもデザインや機能性に優れていますが、多機能であるが故に使いこなすのが難しい面もあります。アプリを活用すると簡単にカスタマイズできるとはいえ、全部で8,000種類もあり、どれが自社に合っているのかを調べるのが大変です。
また、本格的にカスタマイズしようとすると、HTMLやCSSなどの専門的な知識が必要になります。Shopifyで越境ECを始めたいけど、使いこなせるか不安な場合はお気軽にフルバランスにご相談ください。
販売予定国の法律を把握する
法律は、国によって大きく異なるため、販売予定国の法律を把握することが非常に大切です。例えば中国では、政府より越境ECサイトの運営許可が必要で、違反すると罰金などのペナルティが課されます。また、国や地域によっては、輸出に制限がある商品が存在する場合もあります。
もし禁止されている商品を販売すると罰金、最悪の場合は運営停止処分を受けるかもしれません。そのため、越境ECサイトを運営する際は、販売予定国の法律やルールをしっかりと確認しましょう。
まとめ
Shopifyは越境ECに対応した機能やアプリが豊富にあり、各国に対応した言語・適正価格で商品を提供できるだけでなく、配送まで網羅的にサポートしてくれます。越境ECを運営する際は、関税や送料の計算がネックになりますが、Shopifyは関税・送料の計算も効率よく行える機能が備わっています。
Shopifyで海外販売をご検討中の方は、今回紹介した越境ECに最適なアプリや成功事例をぜひ参考にしてください。Shopifyを活用して、世界中の人々にあなたの商品や思いを届けましょう。
Shopifyで越境EC運用をご検討の方へ
Shopifyを使えば、越境ECの運営を効率よくできます。とはいえ、販売する国ごとにニーズや運営状況を分析し、PDCAの計画を立てるのは大変です。
フルバランスには、EC事業者様が抱えるさまざまな悩みを解決できるECスペシャリストが所属しています。お客様のご要望に応じて最適にサポートし、越境ECにまつわる面倒な業務に対応することで、自社の成長にフォーカスできる環境をご提供いたします。
これから越境ECをご検討中の方や、越境ECの業務効率化を検討されている方は、お気軽にフルバランスにご相談ください。