Shopify APIの使い方は?API一覧や活用例、設定法などを紹介

Shopifyでは、多岐にわたるAPIを提供しており、APIを効果的に活用することで、ストア機能の強化やストア独自のアプリ開発を実現できます。

今回は、Shopifyが提供するそれぞれのAPIの種類と使い方、具体的な活用例、API導入のメリット、注意点を幅広く解説していきます。

Shopifyが提供するAPIとは何?

Shopifyでは、顧客管理や注文管理、分析機能などの標準で組み込まれている機能をAPIとして提供しています。APIとは、特定のプログラムや機能を外部利用するために用意されている窓口です。

APIを使いこなすと、自社システムや他のプラットフォームとの相互運用、Shopifyストアへの新しい機能追加などが可能になります。

ShopifyのAPIでできること

ShopifyのAPIを用いるとできるようになることは、以下のとおりです。

  • Shopifyの標準機能を拡張できる
  • Shopifyアプリを開発できる
  • 自社サイトでShopifyの登録情報を活用できる

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

Shopifyの標準機能を拡張できる

Shopify APIを利用すると、標準で搭載されている機能を拡張できます。具体的には、デフォルトのデザインテーマを自社やユーザーが利用しやすいようにカスタマイズしたり、追加機能を拡張したりするなどです。APIを用いた機能拡張は、ストア要件やユーザーニーズに応じて柔軟に対応できるため、可能性は無限に広がります。

Shopifyアプリを開発できる

Shopify APIを利用すると、独自のShopifyアプリを開発できます。具体的には、ストアに独自機能を追加したり、公開アプリとして構築してShopifyアプリストアで販売したりするなどです。

自社サイトでShopifyの登録情報を流用できる

自社サイトでShopifyの登録情報を活用できるのも、Shopify APIを利用してできることの1つです。顧客データや商品データ、注文データなどを取得して、自社サイトで管理しているデータと突き合わせて、ストア改善やマーケティング活動に活用できます。

Shopifyが提供するAPI一覧と使い方

Shopifyでは、ストア運営をしていく中で有効活用できるAPIが豊富にそろっています。2023年9月時点で提供されているAPIは、以下のとおりです。

API名API概要
Admin API製品、在庫、注文、配送などを含むShopifyストア情報の読み取りと書き込みが可能出荷、フルフィルメント、商品管理など、店舗運営のあらゆる段階で機能を提供するアプリ開発が可能
Partner APIShopifyパートナーのパートナーダッシュボードへのデータアクセスが可能
Payments App API支払いアプリの構成データへのアクセスが可能
Storefront API製品やコレクションの表示、カートへのアイテムの追加、状況に応じた価格の計算など、Shopifyの基本機能と機能へのアクセスを提供可能
Customer Account API顧客の住所の作成、取得、更新だけでなく、ストアの設定情報の取得が可能
Shopify Function APIsバックエンド業務に関する機能をカスタマイズできるリソースを提供
Marketplaces APIマーケットプレイスのさまざまなストアに代わってクエリやアクションを実行可能
Messaging APISMSやFacebookメッセンジャーなどのメッセージングアプリからのビジネス会話を一元管理できる機能※クローズドベータ版のため、一部パートナーのみ利用可能
LiquidShopifyによって作成されたテンプレート言語
Ajax APIShopifyのデザインテーマ開発で活用できる動的機能を提供
Section Rendering APIページ全体を更新せずに、特定部分のHTMLコードを動的に変更する機能を提供
Customer Privacy APIカスタムCookie同意バナーの構築や特定アクティビティの保護が可能
Marketing Activities APIShopifyに標準搭載されているマーケティング機能を提供

今回はその中から、以下のAPIを紹介します。

  • Admin API
  • Partner API
  • Payments App API
  • Storefront API
  • Customer Account API
  • Shopify Function APIs
  • Marketing Activities API
  • Liquid
  • Ajax API

それぞれのAPIについて詳しく見ていきましょう。

Admin API

Admin APIは商品や在庫、注文、配送管理などShopifyストアの中核となる情報の読み込みや書き取りを行うAPIです。Shopifyが提供するAPIの中で最も利用頻度の高い機能であり、自社システムとの連携や他サービスとのデータ同期などができます。

Partner API

Partner APIは、ストア運営を代行するShopifyパートナー向けのAPIです。複数ストアに携わっているShopifyパートナーにとって、ストアごとの管理画面にアクセスし、業務に必要な情報を取得するのにはとても手間がかかります。そこで、Partner APIを利用すると、アプリに関する詳細データやサブスクリプションに関するデータなどを取得できます。

Payments App API

Payments Apps APIは、Shopifyストアに設定されている支払いアプリの構成データにアクセスできるAPIです。Payments Apps APIを利用すると、Shopifyの管理画面上から操作せずに、商品の決済対応や支払い状況の確認、払い戻し、支払いキャンセルができます。

Storefront API

Storefront APIは、ストアに登録されている以下の情報を取得できるAPIです。

  • 商品情報
  • 注文情報
  • 顧客情報
  • カート情報
  • チェックアウト情報
  • オンラインストア情報

さらに商品や公開ページ、ブログ記事の検索や新規チェックアウトの作成など、外部からのアプローチもできます。

Customer Account API

Customer Account APIは、顧客アドレスの作成や取得、更新、ストア設定情報の取得ができるAPIです。顧客情報だけでなく、プロフィール情報の管理をするための幅広いオプション内容を提供します。

Shopify Function APIs

Shopify Function APIsは、Shopifyストアのバックオフィス業務を強化するためのAPI群です。Shopify Function APIsを取り入れることで、以下のAPIが利用できます。

API名API概要
Delivery Customization APIチェックアウト中に利用できる配送オプションの名称変更、並べ替えが可能
Order Discount APIカート内の商品に対して新しい割引タイプを作成して適用可
Product Discount APIカート内の特定商品やバリエーションに対して新しい割引タイプを作成して適用可
Payment Customization APIチェックアウト中に利用できる支払い方法の名称変更、並べ替えが可能
Cart Transform APIカート項目の取得および表示内容の更新
Cart and Checkout Validation APIカートとチェックアウトに対して独自の入力チェックが可能
Fulfillment Constraints API商品発送の際に高度なカスタマイズが可能

各シーンに合わせて上記のAPIを導入すると、Shopifyの機能を拡張でき、クライアントワークをより効率的に進められます。

Marketing Activities API

Marketing Activities APIは、Shopifyのマーケティング機能を提供するAPIです。Marketing Activities APIを導入すると、広告プロモーションやキャンペーン、マーケティングオートメーションの管理ができるようになります。

Liquid

Liquidは、Shopifyが独自に作成したテンプレート言語です。自社ストアが求めるデザインにカスタマイズしたり、独自のデザインテーマを開発して有料テーマとして販売したりできます。

Liquidに関する詳しい情報はこちらの記事を参照ください。

Ajax API

Ajax APIは、Shopifyのデザインテーマ開発のために提供されているAPIです。Ajax APIを利用すると、商品をカートに入れた際にカートの商品数を増減させたり、ストア内の商品検索時に該当する商品やコレクションを提案したりできます。

Shopify APIの活用例3選

Shopifyは多くのAPIを提供していますが、具体的にどのようなシーンで利用すれば良いのかわからなくなるのではないでしょうか。APIを活用する主な例として、以下の3つを紹介します。

  • 商品情報を連携する
  • 顧客情報を連携する
  • 独自の管理画面を構築する

それぞれの活用例を詳しく見ていきましょう。

商品情報を連携する

ShopifyのAPI連携を活用する例として、商品情報の連携があります。外部サービスを利用せずに、複数のECストアを運営している事業者が各ストアの商品管理をしたい場合、APIを用いてShopifyの商品情報を一括取得・管理可能です。取得した情報は、在庫推移や売れ筋商品の分析などに役立ちます。

顧客情報を連携する

Shopify APIには連携して顧客情報を取得し、ビジネスに活用する例もあります。例えば、将来的に新規ブランドを立ち上げた際は、既に展開しているブランドについての情報を自社システムから発信できます。顧客情報はECストアを成長させていくのに重要な情報であり、ストア戦略やマーケティングなどに幅広く活用可能です。

独自の管理画面を構築する

Shopify APIの活用例の3つ目は、独自の管理画面の構築です。独自の管理画面を構築することで、Shopifyの管理画面にはない特定のビジネスプロセスやワークフローを組み込めます。さらに、オフライン店舗や他プラットフォームなどのデータを一元管理できるため、情報系統を1カ所にまとめられます。

ShopifyにAPIを導入する3つのメリット

Shopify APIを導入するメリットは、以下の3つです。

  • 自由度の高いストア構築ができる
  • ストア運用の管理業務を効率化できる
  • 外部サービスの機能を利用できる

それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

自由度の高いストア構築ができる

1つ目のメリットは、自由度の高いストアを構築できる点です。具体的には、既存のデザインテーマをユーザーが利用しやすいようにカスタマイズしたり、独自機能やアプリ開発をして機能拡張したりできます。うまくカスタマイズや機能拡張をすれば、結果として売上アップや業務の効率化につなげられるでしょう。

ストア運用の管理業務を効率化できる

2つ目のメリットは、ストア運用の管理業務を効率化できる点です。Shopifyには、バックエンド業務を効率化するAPIが豊富に用意されています。APIをうまく活用すれば、在庫管理や注文管理、顧客管理などを自動化して業務効率化に役立ちます。

外部サービスの機能を利用できる

3つ目のメリットは、外部サービスの機能を利用できる点です。外部サービス機能とShopifyのAPIを活用すると、在庫管理や配送管理などECストアに必要な機能の拡張ができます。機能を拡張すれば、今まで手動で行っていた業務を自動化でき、ストア運営の効率が向上し、時間を有効的に活用できます。

ShopifyでAPI連携する際の注意点

ShopifyでAPI連携する際に生じる注意点は、以下の3つです。

  • 一定のプログラミングスキルが必要
  • 基本的にAPIに関する参考情報は英語
  • APIレート制限がある

それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。

一定のプログラミングスキルが必要

ShopifyのAPI連携する際には、APIに関する基本的な知識とリソースに対してコーディングを行うプログラミング知識とスキルがなければいけません。プログラミングスキルに不安がある場合は、専門エンジニアやShopifyの制作会社へ依頼して対応しましょう。

基本的にAPIに関する参考情報は英語

APIに関する参考情報は基本的に英語であるため、苦手意識がある場合は自力で連携するのが難しい恐れがあります。英語に自信がない場合は、Google Chromeを利用しているなら、翻訳機能や翻訳サイトを用いて日本語翻訳して内容理解に努めましょう。難しい場合は、APIに詳しいShopifyパートナーに相談するのも1つの方法です。

APIレート制限がある

APIレート制限とは、Shopifyのプラットフォームに対して処理実行するリクエスト回数を制限する仕組みです。Shopify APIは、全てのShopifyストアから実行される機能のため、無制限で実行リクエストされると、Shopifyサーバーに膨大な負荷が生じます。

負荷が生じると、事業者はストアへアクセスできなかったり、アプリが機能しなくなったりするため、リクエスト制限が必要となります。各APIにはレート制限が設けられているため、制限内容を考慮した設計とコーディングを行うことが重要です。

Shopify APIを利用する基本ステップ

Shopify API単体では、提供されている機能を実現できません。実現するには、特定のプログラミング言語を用いて実装します。

Shopifyが公式でサポートしているプログラミング言語は、主に以下の4つです。

  • Node.js
  • PHP
  • Python
  • Ruby

各プログラミング言語によって実装手段が異なるため、それぞれのスタイルに合わせたコーディングをしていかないといけません。ShopifyのAPIを利用する基本ステップは、以下の順番です。

  • プライベートアプリを作成する
  • APIキーを取得する
  • プログラミング言語に合わせたコーディングをする

それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。

プライベートアプリを作成する

Shopifyの管理画面からプライベートアプリを作成します。プライベートアプリを作成する手順は、以下の通りです。

1.「アプリ」→「アプリと販売チャネルの設定」をクリックする

2.画面上部の「アプリを開発」をクリックする


3.「アプリを作成」をクリックする

4.任意のアプリ名を設定する

アプリ名を設定したら、「作成」ボタンをクリックすることで、プライベートアプリを作成できます。

APIキーを取得する

次に、アプリ開発画面からAPIキーを取得します。APIキー情報は、ストアの管理情報にアクセスするために必要な重要情報のため、取り扱いには十分注意しましょう。

APIキーの取得手順は、以下の通りです。

1.「アプリ」→「アプリと販売チャネルの設定」をクリック
2.画面上部の「アプリを開発」をクリック

3.作成したアプリを選択

4.「API資格情報」タブをクリック

画面内にあるAPIキーとシークレットキー欄にあるAPIキーをコピーすると、取得可能です。

プログラミング言語に合わせたコーディングをする

APIキーを取得したら、それぞれのプログラミング言語に合わせたコーディングをします。冒頭で紹介した各プログラミング言語のスタイルに合わせた実装を行うと、Shopifyが提供している各機能を実現できます。

ShopifyとAPI連携できる外部サービス

Shopifyは提供しているAPIを連携できるだけでなく、外部サービスとのAPI連携も可能です。ShopifyとAPI連携できる外部サービスの例として、以下の3つが挙げられます。

  • LOGILESS
  • HAPILOGI
  • オープンロジ

それぞれの外部サービスを詳しく見ていきましょう。

LOGILESS

LOGILESSは、ECストア運営で発生する受注業務や在庫管理、出荷業務を自動化する外部サービスです。ShopifyとAPI連携すると、以下の3つが対応できます。

  • ShopifyストアからLOGILESSへ受注情報を自動連携
  • LOGILESSからShopifyへ出荷情報を自動送信
  • ShopifyストアとLOGILESSの在庫数を連動

本来は、商品の受注から出荷までのプロセスを手動対応する必要がありますが、LOGILESSと連携すると、作業コストを大幅カットして業務効率化できます。

HAPILOGI

HAPILOGIは、さまざまなECプラットフォームと連携し、事業者が抱える物流課題を解決するためのサービスを提供する流通インフラプラットフォームです。ShopifyとAPI連携すると、以下の対応が可能になります。

  • 商品マスタ・出荷指示データ・在庫データの連携
  • 出荷実績データの連携

ShopifyとHAPILOGIの連携方法は簡単で、専用のShopifyアプリのインストールとHAPILOGIのアカウント情報を登録すると連携可能です。

オープンロジ

オープンロジは、ECストアの一連業務を自動化できる物流プラットホームです。ECストアの受注データを連携し、手動で対応しなければならなかった出荷業務などを自動化できます。

ShopifyとAPI連携すると、出荷業務や在庫管理を自動化でき、在庫データをリアルタイムで把握可能です。また、Shopify以外の複数のECストアやモールを一元管理できる機能を提供しているため、作業効率の向上が期待できます。

まとめ

Shopifyが提供しているAPIを利用すると、標準機能やアプリでカバーできなかった部分をカスタマイズできます。さらに外部サービスと連携すると、ストア運営で手間取っていた作業を効率化し、業務を改善できるでしょう。

ただし、API連携する際は専門的な知識や技術が必要となるため、連携に不安がある場合にはShopifyを専門としている制作会社やエンジニアに相談しましょう。

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